中国で認められている離婚方法としては、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。
ただ、調停離婚には、訴訟外調停離婚と訴訟内調停離婚というものがある点で、日本の調停離婚とは異なっております。
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協議離婚
協議離婚は、夫婦が離婚を望み、同時に、子供に対する扶養教育と夫婦の財産分割協議について合意し、婚姻登記機関の審査を経て婚姻関係を解消する離婚方式のことを言います。
夫婦がそろって、いずれか一方の常住戸籍所在地の婚姻登記機関に出頭して離婚登記を行う必要があります。中国人と外国人は、原則的に協議離婚は認められず、裁判離婚しか認められませんが、例外として、中国内地の婚姻登記機関で婚姻登記をした夫婦の場合は、一方が外国人でも協議離婚ができます。その場合においては、双方が中国人当事者の常住戸籍所在地の婚姻登記機関に出頭して離婚登記を行う必要があります。
協議離婚のためには、本人の戸籍簿、居民身分証、結婚証、双方が署名した離婚協議書などが必要です。協議は、離婚意思・子の扶養教育、夫婦共同財産の分割、債務弁済処理、生活困難な一方に対する経済的援助等を内容とするものでなければなりません。
日本の戸籍事務管掌者とは異なり、中国の婚姻登記員は、離婚に関する実質的審査権を持っています。したがって、婚姻登記機関は、離婚申請があると、厳格に審査し、審査の過程で、双方に対して和睦調停と説得教育を行い、婚姻がまだ完全に破綻しているとはいえない場合には、和睦へ導くよう最大限尽力しなければなりません。
また、当事者に離婚に関する合意があっても、子供の扶養教育、夫婦財産問題等について十分処理がなされていない場合には、婚姻登記機関により調整指導が行われます。また、婚姻登記機関は、当事者が合法的夫婦関係にあるか、離婚意思は自発的真意によるものか、詐欺脅迫や虚偽、仮装に基づく離婚でないか等の違法行為の有無も審査します。違法行為が発見された場合は、離婚登記は認められません。また、婚姻登記が中国内地で行われていないとき等も婚姻登記の不受理事由とされています。
審査の結果、当事者が自由意思に基づき離婚を希望し、かつ、子供の扶養教育、夫婦財産問題等について合意されている場合には、離婚登記がなされ、離婚証が発給されます。離婚証の発給は、当日でも可能となっています。
離婚が成立した後に、翻意した場合は、離婚登記を行った婚姻登記機関に申し出る必要があります。この場合、婚姻登記機関は申出を認めないこともできますが、離婚登記を取り消して、離婚証を回収することもできます。婚姻登記機関が当事者の申出を受理しない場合、又は、当事者が婚姻登記機関の処理に不服がある場合は、人民法院に提訴することができます。日本では、一旦離婚届出を提出した後にそれを撤回することはできませんので、この点は、中国とは異なることになります。
調停離婚
訴訟外調停離婚
前述のとおり、調停離婚には、訴訟外調停離婚と訴訟内調停離婚があり、訴訟外調停は、司法機関以外の関係部門により行われるもので、調停が成立しても婚姻登記機関に協議離婚と同様の離婚登記をして初めて離婚が成立します。ただし、訴訟外調停を行うか否かは、当事者の選択に任されております。
関係部門としては、人民調停委員会(都市の居民委員会、農村の村民委員会等)、当事者の所属組織(職場等)、大衆団体(共産党青年団、婦人連合会、労働組合等)等がこれに該当します。
訴訟内調停離婚
訴訟内調停は、訴訟外調停とは異なり、離婚提訴後に人民法院が離婚判決の前に必ず行う必要があります。したがって、日本と同様に、調停前置主義が採用されております。調停により、離婚、財産分割、子供の扶養・教育についての協議が成立し、離婚調停が成立すると、人民法院は、離婚調停調書を作成します。調書に裁判官・書記官の署名と人民法院の押印がなされた後に、当時者双方が署名又は押印して受領することにより離婚は成立します。
離婚調停調書は、離婚判決書と同一の効力を持ち、婚姻登記機関に離婚の登記を申請しなくても、離婚は成立します。
裁判離婚
裁判離婚は、訴訟内調停が成立しなかった場合に、人民法院の審理を経てなされる離婚です。裁判離婚は以下の場合に行われます。
■当事者の協議による離婚が成立しない場合
■当事者が離婚に同意しているが、子の扶養・教育、財産分割、②債務の弁済、賠償責任の分担、③当事者の一方が経済的援助を求めたが、他方がその援助に応じないか、又は、援助に応じたものの、請求者の請求に応じないとき
■当事者の一方が民事上の完全行為能力者でない場合
■当事者の一方が何らかの理由により、自ら婚姻機関に出頭して離婚申請をすることができない場合
■当事者の一方が外国人の場合
ただし、2003年10月1日から、中国内地の婚姻登記機関で婚姻登記をした夫婦の場合は、一方が外国人でも協議離婚ができるようになり、裁判離婚の必要はありません。
したがって、日本人と中国人夫婦の場合、中国で婚姻登記をしていた場合以外は、裁判離婚の方法しかできないことになります。